【人】〈Arinos 古家由也代表取締役社長CEO〉/ゼロから1を最速で生み出す
コンサルティングを手掛けるArinos(アリノス)は9月25日、カンボジアで化粧品のネット通販を始めた。09年、アリノスを立ち上げた古家由也社長は、事業展開について「ゼロから1を最速で生み出すというのがコンセプト」と語る。
カンボジアでの通販事業には、これまでのコンサルティング経験を生かしているという。しかし、学生時代には、すでに経営者としての片鱗をうかがわせていた。
大学生だった19歳のころ、ベンチャー企業を立ち上げた。貧しい家庭で育った古家氏は、自立する必要性に迫られていた。学生目線での企業評価を基に、各社へのフィードバックや改善提案をする中で、経営のノウハウを獲得した。
学生時代の経験から、新規事業を支援する財団の創設という夢を抱き、 その足掛かりとして再び起業を目指すようになった。さらなる成長を求めて入社したアクセンチュアを経て09年、独立した。
経営方針について古家氏は「 国内でいえば、事業規模は小さく、展開速度は遅い方に分類される。そうした企業はニッチな分野でスケールの小さい運営を強いられてしまうので、日本市場では戦わないと決めている。海外でも中国やシンガポールではすでに遅い」と開発途上国でのビジネスに焦点を当てる。
フィリピンではシステム開発業を展開し、スリランカでは教育事業を手掛ける。大手が参入してきた場合の選択肢は三つ。競争・協業・売却とシンプルだ。実際、カンボジアで展開した飲食事業は参入企業に売却している。事業創生で得た知見は、新規事業やコンサルティング事業に生かす。
開発途上国における事業創生にはトラブルが付きもの。商談が覆される、飲食事業に必要な什器が届かない、奇想天外な不達理由。「どんどん西に進みたい」と展望を語る古家氏は、バイタリティーに溢れている。
社名のアリノスは、新たな巣を掘り進めて生きるアリに由来している。ゼロから1を創生し、世界を駆ける姿は、特定の巣にとどまらないサスライアリの姿に似ている。ただ、攻撃性の高いサスライアリの歩いた後には何も残らないのに対し、アリノスの軌跡には事業の種がまかれている。
〈プロフィール〉
古家由也(こげ・ゆうや)氏
83年生まれ。07年、和歌山大学・大学院・経済学研究科を修了。同年、アクセンチュアに入社、業務改革などコンサルティングを手掛ける。09年、Arinosを設立。フィリピン、スリランカ、カンボジアを中心に事業展開している。
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出典:
日本流通産業新聞 平成30年11月1日記事より抜粋