Arinos Blog

事業創出プログラム事例紹介⑥_株式会社WAZA

こんにちは、BusinessCreationDrive部門の成田です。

 皆さんは「ビジネスモデルの作り方」というと、どのようなことを思い浮かべますか?一見、難しく思えるかもしれないのですが、どんな業界 / 業種でもやり方は同じです。

 今回は、インテリアデザイナー向けポートフォリオ提供サービスを企画している株式会社WAZAの法月さんの事例を紹介しつつ、ビジネスモデルの作り方の説明をしたいと思います。

 

◆ポートフォリオ提供サービスを企画した背景

 インテリアデザイナーはポートフォリオをつくるという習慣がなく、自身の実績をアピールできず、仕事を取ることができていません。

 自身の周りにも素晴らしい技術があるのに正当に評価されず、埋もれてしまっている方が多く存在することをもったいないと感じ、ポートフォリオを簡単に作成できる環境を整えたいと思い、事業化することになりました。

ポートフォリオをつくる上で課題となっているのが、
  ・実務が忙しく、ポートフォリオをつくる時間がない
  ・ポートフォリオをつくろうとしても、作り方がわからない
  ・作ったとしても、仕事につながらない
   ということがあげられます。

当サービスは、「作成する手間をかけない」「仕事を発注する側が何を知りたいのかをくみとった設計となっている」ため、発現している課題を解決できると考えております。
 ※利用者のこだわり、作品の細かい意図、作成過程を表現できます。

 

◆ビジネスモデルに必要な要素とは?

  ビジネスモデルを検討するにあたり、事業の実現可能性を検証する必要があります。

  検証するために必要な要素が、

   ① ターゲット(だれに)

   ② バリュー(どんな価値を)

   ③ ケイパビリティ(どのように提供するか)

   ④ 収益モデル(収益はでるか)

の4つの項目になります。これらのうち一つでも欠けていると、事業として成り立たせることが難しくなります。

 例えば、自分が熱い想いをもって「こういったサービスを提供したい!」と思ったとしても、実は誰もそのようなサービスは必要としていない(ターゲットにニーズがない)となると、事業として成り立つわけがありません。

 ※誤解される方が多いので補足しておくと、「自分が何をしたいか」は関係なく、「誰がそれを必要としているか」が重要です。独りよがりのサービスでは事業化することは出来ません。

◆法月さんの事業に当てはめて考えると

①ターゲット

 ターゲットは「インテリアデザイナー」としました。

 ※ターゲットを細かくセグメンテーションすることで、お客様の課題をダイレクトに
  解決することが可能になります。

 インテリアデザインは、

  ・立体的な空間演出が必要で、既存のツールでは表現しきれない

  ・そもそも、ポートフォリオをつくるという概念が少なく、仕事

   を取れていないという課題が顕在化している

 といった点から、当サービスのニーズが強いと考えました。

  ※ターゲットを決定するにあたり、インテリアデザイナーに対して、アンケート・
   グループインタビューを複数回実施しました。

 

②バリュー

 インテリアデザイナーへのアンケート/グループインタビューを実施する中で、当初仮説として立てていた「ポートフォリオをもっている人が少ない」ということが、事実だということが分かりました。

 また、新たな仕事の機会が増えるのであれば、お金を払ってでもポートフォリオをつくりたい!という声を多数いただきました。

 そこで、バリュー(どのような価値を提供するか?)は、「過去の経歴を分かりやすく表現し、仕事の獲得につなげる」という形にしました。

 

③ケイパビリティ

 当サービスを提供するために、「ポートフォリオ提供システム」が必要になります。スタートアップはお金が潤沢にあるわけではないので、小さい投資で複数施策回し、仮説検証のプロセスを最速で回す必要があると考えています。そのため、システムの開発費用はできるだけ抑えたい、という話を法月さんにさせて頂きました。

 そこで、Arinosは、

  ・テストアプリを作って、ニーズの再検証をする

   ※アンケートでお金を払うといっても、実際にサービス利用をする人は少ないため、
    「実際にお金を払ってくれるか検証」する。

  ・テストアプリの開発は、最小限の費用で抑えるために、ノーコードで開発する。

   という提案をさせて頂きました。

   ※実際、普通に開発すると300万円以上かかるものが、ノーコードを利用することで
    50万円に抑えることができました。

 

④収益プラン

 ビジネスモデルがある程度固まったタイミングで、収益計算を行います。(この段階では、1円単位の誤差もないように正確につくるのではなく、「儲かる可能性があるのか?」という観点で、概算レベルのものを、スピーディーにつくります)今回の事業モデルは、ユーザーから月額課金方式でお金を頂きます。単価がどうしても安くなるため、売上が安定するまで相当時間がかかることが想定されます。

 ※サービスリリースしたからといって、すぐ売上があがると思ってはいけません。
  実はここ、誤解されている方が多いです。

 そこで、中長期的な収益を見据えつつも、短期的に売上をあげる方法をビジネスモデルの中に組み込むという結論になりました。

 ※上述した通り、事業は5年、10年のスパンで戦っていく必要があると考えています。
  なので、中長期的なことばかりではなく、短期的なこともしっかり見据える必要が
  あると思っています。今回のケースでは、デザイナーに案件を紹介する事業も
  合わせて行うこととなっています。

 

◆今後の取り組みについて

 ポートフォリオのテスト開発は大詰めとなっています。開発が完了次第、本格的に営業を行っていきます。営業を行うことで、お客様のニーズをさらにつかむことになるので、それをシステムに反映していきます。

 この事業においてカギになるのはユーザビリティであると考えています。詳細なポートフォリオを提供しても、使ってもらわなければ意味がありません。複数人にテストモニターをしてもらい、画面遷移やポートフォリオの見せ方など、徹底的にユーザのストレスを減らし、サービスをブラッシュアップしていきたいと思います。